成熟し始めた家電製品の機能と性能
最終更新日
2018年10月19日
低価格化が進む家電製品
2008年の秋頃から始まった世界同時不況より、家電製品がなかなか売れず、値崩れが起きています。しかし、家電製品の価格は、以前から下がり続けている傾向が見られていました。これは、薄型テレビや HDD・DVD レコーダーなどの AV 機器によく見られました。この値下がりの原因ですが、その一つに、安価な海外メーカー製品の登場があげられます。安価とはいえ、それなりの機能性能を持っているため、高価で高機能高性能な日本製品は、価格が高い事がデメリットとなり、価格を下げないと売れ行きが伸びにくくなりました。
ところで、値下がりの別の原因の一つとして、家電製品の機能と性能が、消費者の要求するレベル以上となり、成熟してしまった事は考えられないでしょうか。先にあげた安価な海外製品ですが、やはり高価な日本製品の方が優れているなと感じる所があります。(ただし、全ての家電製品に当てはまるとは思いません。)
なので、お金を多く出してでも、より高いレベルの日本製品を買いたいところですが、実際比較してみると、安価な海外製品でも十分と感じます。もちろん、人によっては不十分と感じるでしょうが、多くの人が安価な方で十分と感じ、安い方へ流れるのはないでしょうか。これは、家電製品の機能と性能のレベルが全体的に上がってしまい、既に消費者の要求を満たすほど、成熟してしまっと言えると思います。
機能と性能が成熟した家電製品の例
これは、同じ日本製品に限った話でも、当てはまると思います。例えば、映像ソフトや、テレビ番組の録画に使われる光ディスクは、DVD から BD (ブルーレイディスク)へと進化しましたが、DVD のままでも十分満足できると感じる方が、結構いるのではないでしょうか。私の場合ですが、1人で手ごろなサイズのテレビで見るなら、DVD で十分だと感じます。もちろん BD の方が画質が高い点など、満足度が高いのですが、特に安く済むのであれば、DVD のみ使える再生機器や録画機器のままで良いと思ってしまいます。ただし、画質を非常に重視、または大画面サイズのテレビで見るなら、やはり BD は魅力的なので、BD が使える機器は、今後も売れていくと思います。
もう一つの例として、パソコンがあげられます。2008年の秋に始まった世界同時不況より前から始まっていたとも言える、パソコンの値下がりですが、この原因も、機能と性能が上がり過ぎ、消費者の要求レベルを超えてしまい、成熟してしまったからと考えられます。
昔は、パソコンは1年おきに買い替えしたくなるくらい、機能と性能が向上した新製品の登場が楽しみなものでしたが、今では買い替えどころか、ちょっと昔に発売されたパソコンで十分と感じるほどになっていると思います。よって、高機能で高性能なパソコンを出しても、価格を下げないと売れない事態になっていると思います。
しかも、今後しばらくは、高機能で高性能なパソコンが求められる状況になる可能性が小さいです。例えば、技術革新と呼べるようなソフトウェアや周辺機器が登場し、これらを利用するには高機能で高性能なパソコンが必要なら、高価なパソコンでも売れるでしょうが、今のところそのようなものが登場する動きはあまり見られません。よって、しばらくは低価格なパソコンが売れる時代が続くと思います。
今後の家電メーカーの動きは
家電製品の値下がりの原因は、機能と性能の成熟ではなく別にあるかもしれませんが、今後は安くてもそれなりの機能と性能が持つ家電製品が売れる時代になると思います。そうすると、世界トップレベルの家電製品を開発している日本メーカーが、日本市場においても海外メーカーにシェアを奪われそうで心配です。今でも、日本メーカーは、機能と性能をあげるだけでなく、省エネや小型化にも力を入れ、製品の付加価値をあげようと努力を続けていますが、価格の面においての勝負となると、海外メーカーの方が強いところがありますので、価格をできるだけ下げようとますます努力してくると考えられます。
しかし、そうなると、利益の減少により日本メーカーが弱体化し、日本経済などに良くない影響が出そうです。また、結果的に日本のものづくり技術の強みが失われてしまうような気もします。今後は、そうならないよう、ぜひその技術を活かした新しい家電製品を世に出し続けてほしいです。